東京高等裁判所 昭和47年(う)1047号 判決
被告人 味岡修
〔抄 録〕
所論は、被告人には積極的に列車等の運行を妨害しようとする意思はなく、被告人らが線路上に立ち入った時点では既に列車等は停っていたために、被告人らはただ線路上を歩いて行ったにすぎないから、原判決が本件につき威力業務妨害罪の成立を認めたのは誤っていると主張する。
しかし、原判決挙示の諸証拠を総合すれば、同判示の事実を認定することができ、被告人は、原判示のように、昭和四四年四月二八日午後五時頃国鉄東京駅第三ホームに多数の学生らとともに集結し、同午後五時三六分頃同ホームから大挙して線路上に立ち入り、国鉄有楽町駅を経て同午後六時頃国鉄新橋駅に至り同午後六時一五分頃まで同駅および付近線路上に滞留し、もって同日午後五時三六分頃から午後六時一五分頃までの間東京駅新橋駅間の各線電車および列車の運行を不可能の状態に陥れたものであることが明らかである。被告人が所論のとおり電車が運行していればこれを利用する意思であり、また前記東京駅第三ホームから線路上に降りた時には、その直前から同ホーム上に多数の学生らが集結していたために電車が同駅に停止せず通過運行をしたり、更に国鉄神田駅ホームから線路上を東京駅方面に向った集団があって電車の運行が停止していた事実があったとしても、前記のとおり、被告人が多数の者と意思を通じ、つるはしの柄様の丸棒を所持し、大挙して線路上に入り新橋駅まで行進した以上、その所為は、正にこの間正当な事由がなく電車等の運行を阻害したものであって、本件につき威力業務妨害罪が成立することは勿論である。原判決の判断はもとより正当であって、論旨は理由がない。
(竜岡 宮脇 桑田)